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UPDATE:2023.04.21

ブックメーカーの違法性と弁護士の見解

ブックメーカー基本情報
ishi
執筆者:前田修也

大学ではスポーツ科学を専攻。卒業後ヨーロッパへ渡り某ブックメーカーへ就職。約8年間働いた後、現在はオッズや試合予想について日々研究しながらライターとしても活動中。

ブックメーカーは違法とされる可能性もありますが、明確に違法とも断言できないのが現状です。

ブックメーカーの利用者を摘発するには、現行犯で同時に「利用者」と「運営者」を逮捕する必要があります

しかし、海外のブックメーカーは政府公認で運営しているため、現行犯で両者を逮捕することが極めて困難。

この記事では、ギャンブル関連の法律に詳しい弁護士の意見を元にブックメーカーの違法性について考察していきます!

ブックメーカーの違法性について弁護士の意見から考察

違法合法の画像

今回はギャンブル関連の法律、「賭博罪」を専門とする津田弁護士の意見を元にブックメーカーの違法性について考察していきます!

判例はまだないが「違法とされる可能性はある」

Q.海外のブックメーカーに日本から参加するのは合法?

津田弁護士「刑法上は、犯罪を構成する事実の一部が日本で行われれば刑法が適用されます。したがって、日本から賭博に参加している以上、賭博罪(刑法185条)が適用される可能性があります。しかし、実は難しい論点があります」
引用:弁護士ドットコム

Q.難しい論点とは?

津田弁護士「賭博罪は、犯罪の性質上、必ず複数の人間が関わる『必要的共犯』とされ、胴元と参加者という向かいあう関係の者たちが共犯となることから『対向犯』と呼ばれています。ところが、胴元であるブックメーカーは合法なので処罰できません。対向犯の一方である胴元を処罰できないのに、もう一方である参加者のみを処罰できるのか、という問題があるのです」
引用:弁護士ドットコム

要約すると、賭博罪を適用させるには、胴元と参加者の両方を処罰しなければならない(片方だけを罪に問うことはできない)。

しかし、海外ブックメーカー(胴元)は合法で運営しているため処罰の対象にはならないので、利用者のみを罪に問うことが難しい。

賭博罪の違法性と「公然性」は密接に関連している

津田弁護士「自宅のパソコンからこっそり海外のブックメーカーを利用しても、逮捕される可能性は限りなくゼロに近いでしょう」
「賭博罪は風紀に対する罪とされています。その違法性の多寡は『公然性』の多寡に関わります。日本国が明治時代、刑法を作る際に参考にしたドイツ刑法では、非公然の単純賭博は不可罰でした。そして、日本でも明治23年の刑法草案段階では『公ノ場所』でされる賭博のみを処罰する案でした」
引用:弁護士ドットコム

要約すると、賭博罪は風紀を乱すものに対する罪なので、自宅のパソコンからこっそり海外のブックメーカーを利用しても逮捕される可能性は限りなくゼロに近い。

影響力のある人が渋谷のスクランブル交差点でブックメーカーをプレイする様子を配信した場合は、おそらく逮捕されるでしょう。

【注意】ブックメーカーで逮捕されてしまう3つのケース

グレーゾーンなので逮捕される心配はないと思っていても、場合によっては完全違法となることもあります。

  • 日本国内で運営されているサイトで遊ぶ
  • ライセンスが無いブックメーカーで遊ぶ
  • 違法賭博店からブックメーカーをプレイ

これらの場合は、逮捕されてしまう可能性が高いので注意が必要です。

具体的にどのような場合なのか、それぞれ詳しく解説していきます!

ケース①:日本国内で運営されているサイトで遊んだ場合

ブックメーカーの運営元が日本の場合、賭博罪が適用されるため違法です。

そのようなブックメーカーの背景や情報を知らずにプレイしてしまうと逮捕される恐れがあるので、注意が必要です。

ケース②:ライセンスが無いブックメーカーで遊んだ場合

拠点が海外の合法地域にある場合でも、政府公認のライセンスがない場合は違法です。

対策として登録やプレイする前に、ライセンスの取得の有無を確認してから遊ぶ必要があります。

ライセンスの取得を確認するのがめんどくさい方は、記事の後半で紹介する「安心して遊べるおすすめブックメーカー3選」の該当サイトで遊ぶことをおすすめします!

ケース③:違法賭博店でプレイした場合

ブックメーカー自体は合法に運営されていても、日本の違法賭博店からプレイしてしまった場合は違法です。

そのため、違法賭博店や裏カジノからブックメーカーをプレイした場合検挙されてしまう恐れがあります。

実際の検挙数はコチラ

  • 令和元年中「18件」
  • 令和2年中「16件」
  • 令和3年中「16件」

違法賭博店からプレイすると検挙されるだけでなく、イカサマやその他の事件に巻き込まれてしまう可能性が非常に高いので賭博店の利用はやめましょう。

罪に問われてしまった場合どうなるのか解説

仮に罪に問われてしまった場合、単純賭博罪常習賭博罪のどちらかが適用されます。

刑法185条、刑法186条では以下の通り

(賭博)

第百八十五条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。

ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

(常習賭博及び賭博場開張等図利)

第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。

引用元:刑法第185条刑法第186条

単純賭博罪:50万円以下の罰金又は科料

「単純賭博罪」は、1度でもブックメーカーやオンラインカジノで遊んでしまった場合に適応されます。

ブックメーカーやオンラインカジノ以外でも、公営ギャンブル以外の賭博行為が該当します。

50万円以下の罰金を科せられます。

常習賭博罪:3年以下の懲役

常習賭博罪は、常習的に賭博を行っていると判断された場合に適応されます。

頻繁にブックメーカーやオンラインカジノで遊んでいる方は常習賭博罪となる場合があるので注意です。

3年以下の懲役です。

ブックメーカー利用者が罪に問われた判例はない

単純賭博罪と常習賭博罪の罪に問われてしまった場合について記述しましたが、ブックメーカー利用者が逮捕されたという判例はまだないのも事実です。

Q.賭博罪を適用させるには、胴元と利用者の両方を処罰しないといけないが、片方だけははたして可能なのか?

津田弁護士「この点について、まだ判例はありません。したがって、現状での回答としては『違法となる可能性がある』ということになります」
引用:弁護士ドットコム

オンラインカジノ利用者が摘発!事件の真相

摘発事件の真相
ブックメーカーではないものの、過去に「オンラインカジノ」をプレイしていて日本人が検挙されてしまった事件がありました。

  • 何故検挙されてしまったのか
  • 検挙されて最終的にどうなったのか

それぞれを踏まえて事件の真相について考察します!

京都府警が日本人3人を摘発した理由を考察!

2016年、イギリスで認可を受けていたスマートライブカジノと呼ばれるオンラインカジノを利用していた3人の日本人が京都府警に検挙されました。

自宅のパソコンから無店舗型のインターネットカジノで賭博をしたとして、京都府警は10日、賭博の疑いでコンピューター部品製造会社経営の男(65)ら埼玉県と大阪府の利用者の男3人を逮捕した。府警によると、無店舗型のネットカジノの利用者の逮捕は初めて。カジノサイトは拠点が英国とみられるが、日本人がディーラーで、日本時間の夕方から深夜に開かれており、日本国内の客に向けた違法賭博と判断し、客の立件に踏み切った。
引用:産経フォト

最終的には3人とも裁判の結果、不起訴処分となり逮捕されることはありませんでした

しかしこのような事件があったのも事実です。

今回不起訴処分となった1番の理由は日本の「賭博罪」を適用してプレイヤーを逮捕するには、運営者とプレイヤーを同時に現行犯で逮捕する必要があります。

そのため、海外にいる運営者と日本にいるプレイヤーを同時に現行犯で逮捕することが今回の事件で3人の日本人を摘発するための条件でした。

弁護を担当した、津田岳宏弁護士によると

“本来であれば罪が重いはずの運営側(オンラインカジノ側)を処罰せず、罪が軽い方の
参加者のみを処罰の対象とするのは妥当性がない”

という主張が今回の事件では不起訴に繋がったと言われております。

今回の事件はこの記事の最初に解説した、逮捕できる条件としての「運営とプレイヤーの両者を現行犯で逮捕しなければいけない」が該当したので逮捕できなかった良い例です。

ブックメーカーの利用者が逮捕されない3つの理由
津田弁護士がブックメーカーの利用が「違法となる可能性もある」が、逮捕される可能性は極めてゼロに近い。

このように公言していた逮捕されない3つの理由について考察しました。

▼3つの理由はコチラ▼
・有名サッカーチームがブックメーカーからスポンサードを受けている
・利用者203万人以上を一斉に逮捕するとは考えにくい
・ブックメーカー側も同時に摘発が利用者逮捕の条件

有名サッカーチームがブックメーカーからスポンサードを受けている

サッカー好きなら誰もが知っている有名クラブや、誰でも1度は耳にしたことがあるようなサッカーチームに対してブックメーカーはスポンサードしています。

海外有名クラブがユニフォームのロゴにスポーツベッティングサイトを大きく載せているということは、海外ではスポーツベットに対しての市民権は獲得済みのようです。

スポンサー サッカーチーム
スポーツベットアイオーのロゴ画像 アーセナル
サウサンプトン
dafabetのロゴ画像 セルティクスFC
ボーンマス
betwayのロゴ画像 ウェストハム
188betのロゴ画像 リヴァプール
バイエルン

利用者203万人以上を一斉に逮捕するとは考えにくい

衆議院の質問主意書にこのような主意が提出されました。

その①:国際カジノ研究所の独自アンケートによると、2020年から2021年の1年間での参加率が1.6%ということで、およそ203万人の方が使っているのではという推計がある。
 
その②:消費者庁の調査では、国民生活センターのデータベースによるオンラインカジノに関する相談件数が激増しており、初め数10件程度だったものが、この7、8年で500件近くにまで急増
引用:衆議院

両方ともブックメーカーではなく、オンラインカジノの利用者数を表したものですが、203万人以上の利用者全員を賭博罪として逮捕すれとなれば、大きなニュースになりそうです。

現実的ではありません。

そして何より、まず摘発が始まるのならブックメーカー利用者ではなくオンラインカジノ利用者です。

ブックメーカー側も同時に摘発が利用者逮捕の条件

現在の日本の法律「賭博罪」を適用してプレイヤーを逮捕するには、ブックメーカーで遊ぶ利用者と海外の運営を同時に現行犯で逮捕する必要があります

これは極めて困難。

海外のブックメーカー会社は海外の法律に則って、政府公認の元で合法に運営しています。

逮捕される理由がありません。

とは言え、今後の法改正次第では逮捕しやすくなることも予想できるので注意が必要です。

賭博の違法性に関するQ&A

賭博はなぜ日本で違法?

賭博は、勤労その他正当な原因によることなく単なる偶然の事情によって財物を獲得しようと争うことになり、国民に対して「怠惰・浪費の弊風を生じさせ」、健康で文化的な社会の基礎をなす「勤労の美風を害する」ばかりでなく、極端な場合には「暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的な犯罪を誘発」または「国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれ」すらあるとされています。

(最高裁判所大法廷昭和25年11月22日判決)。

要約すると、偶然の事情によってお金をを獲得しようとすることが原因で健康で文化的な社会を乱し、犯罪にも繋がる可能性があるからです。

賭け麻雀はいくらから捕まる?

1円でも賭けたら違法になります。

日本の刑法には賭博罪があり、賭博罪の解釈について最高裁判所は、金銭は少額であっても賭ければ賭博罪が成立する、と判示しています。

ギャンブルの定義は?

結果が偶然に左右されるゲームや競技等に対して、 金銭を賭ける行為のこと。

日本では、パチンコ、競馬、宝くじ等がギャンブル。

なぜ雀荘は摘発されないの?

警察が見逃しているからです。

全ての犯罪が捜査の対象となるかと言うとそうではなく、捜査についても起訴についても警察・検察には一定の裁量が与えられています。

ブックメーカーやオンラインカジノも同様に、日本人プレイヤーの数が膨大なので捜査の対象となることは極めて低いと言えるでしょう。

安全に遊べるブックメーカーはどこ?

安全に遊べるブックメーカの例として
・20BET
・Sportsbet.io(スポーツベットアイオー)
・ピナクル

などがあげられます。

もっと詳しく>ブックメーカーおすすめ比較ランキング11選!

まとめ

この記事ではブックメーカーの違法性を弁護士の見解を元に考察していきました。

グレーゾーンではあるものの、法律の観点から考えるとプレイヤーが逮捕される可能性は極めて低いです。

胴元が合法に運営している以上、現在の「賭博罪」は適用できません。

法改正が入るまではプレイしても問題はなさそうです。

おすすめブックメーカー比較ランキング11選は→コチラ

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